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マイナス投票のすすめ

マイナス投票のすすめ

  2017.10.28

 衆議院議員選挙も終わった。雨の中、投票所に向かったが、入れたい党も候補もないので、ちょっと困った。ちょうどお金を渡されてスーパーには入ったものの、買いたい商品がないのに、買い物を強制されるような気分だ。

 

 そこで思ったのだが、マイナス投票制度を認めたらどうだろうか。つまり落としたい候補者にマイナス票を入れることを認めるのだ。この場合マイナス票のウエイトは、従来のプラス票の0.1ぐらいにしてもよい。たとえば候補者Aがプラス票で5万票をとり、マイナス票が1万票入った場合、この候補者の得票数は50,000-10,000*0.1=49,000票となる。

 

 こうした制度があれば、投票所に行くインセンティブは高くなる。入れたい候補はいなくても、落としたい候補はいるからだ。また当選した候補にとってもマイナス票の存在は、批判票としてカウントされるので、良い刺激となるだろう。

 

 こうした制度改革には、金と時間がかかるという議論があるが、現在のITパワーを用いれば、簡単に実現できる。だいたいお年寄りが雨の中、わざわざ投票所の行かねばならない今のシステムは、時代遅れだ。まずウェブで本人認証を行い、その上で電子投票を行えばよい。認証には免許証のコピーなどを使えばよいだろう。もしくはエストニアのe-Residencyを使ってもよい。電子投票になれば、期日前投票の必要もなくなる。これはコスト削減にもつながるし、投票率の向上にも役立つだろう。

 

 もう少し発想を広げると、国会議員のように国全体の政治に関わる人間をなぜ地域毎に選ばなければならないかという疑問がわいてくる。昔は候補者が全国を遊説するのは大変だったから、地域毎に選挙するという形をとらざるを得なかった。しかし現在は、候補者のプレゼンを全国どこからでもウェブで見ることができる。だとすれば、投票の選択肢(候補者)も,、地域に縛られないので、広がることになる。選択幅が広がりすぎなら、好きな選挙区に登録するという形をとることもできる。こうすれば、現在裁判沙汰になっている、地域別の1票の重みの違いも簡単に解決できる。投票の重みの地域差がなくなるからだ。

 

 そろそろこの国の政治・経済システムは、全取っ替えの時期に入ったようだ。投票システムの作り直しはその第一歩となるだろう。

 

 (参考)

ラウル・アリキブイ、前田陽二、「未来型国家エストニアの挑戦」 オンディマンド、 2017年、