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カリフォルニア州自動運転車報告書2018年版のリリース

カリフォルニア州自動運転車報告書2018年版のリリース

 ・カリフォルニア州車両管理局(DMV)の自動運転車プログラムに参加した各社の過去一年(2017.12-2018.11)の自動運転走行結果(自己申告)が発表された。

 

・それは、自動運転モードで走行中に安全性に問題が生じた時、人間ドライバーがクルマをコントロールした回数とそのシチュエーションを記録したものだ。たしかにクルマ毎に、安全性の定義は異なるので、この数字によるメーカー間の比較は簡単ではない。それでもこのレポートからは、いくつかのことが読み取れる。

 

・自動運転技術の進捗に関しては、グーグルのウェイモ(Waymo)が他を圧倒している。同社の自動運転車の走行距離は120万マイルに達し、人間が介入した割合は、1.1万マイルに一回だった。つまりWaymoは、自動運転モードで1万8千キロに一回だけ、人間が介入する必要があったことになる。普通の人の運転なら約2年に一回と言うところだろう。

 

・これを追うのがGMクルーズで、人間ドライバーの介入は5,200マイルに一回だった。走行距離合計が約45万マイルだから、これはかなり信頼性の高い数字だろう。

 

・日本車の場合は、このテストに参加しているものの、走行距離があまり長くない。その中で比較的走行距離の長いのが日産で、5,400マイル走行し、人間ドライバーの介入は26回となっている。トヨタ(TOYOTA Researchi Institute)は走行距離の合計が400マイル弱、ホンダは170マイル弱となっている。

 

・面白いのはテスラの対応で、テスラはすでにEV車を大量に販売している(2018年だけで24.5万台)。同社は、それにシャドウ・モードを設けており、ドライバーがテスラ車を運転するときに、自社の自動運転システムをこのモードでテストすることにより、自動運転技術の開発を進めている。このため、同社は、カリフォルニア州のテストには参加しない。

 

・もう一つ気づいた点は、クアルコムやNVDIAのようなチップメーカーもこのテストに参加していることだ。たとえばNVDIAの場合、4,140マイルほど走行して、人間ドライバーの介入は206回と報告している。自社のチップのテストを行っているのだろう。

 

・このテストにおける日本車の存在感は、残念ながら、薄い。このままで行くと、日本メーカーは、アメリカのIT企業から自動走行ユニットというチップを購入し、それを実装して、自動運転車を売り出すことになりかねない。これはスマフォでアップルが日本の電機各社を抑えて圧勝した道でもある。

 

(参考)

・Dept. of Motor Vehicles(DMV),Autonomous Vehicle Program,Autonomous Vehicle Disengagement Reports,2018

https://www.dmv.ca.gov/portal/dmv/detail/vr/autonomous/disengagement_report_2018・Waters R. and Burn-Murdoch,"Waymo builds big lead in self-driving testing",FT,Feb.15,2019

・Tim Higgins,「自動運転車、まだ人に依存、米加州の試験走行データ」、WSJ,2019.02.14