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IT時代の巨大石油企業の戦略転換

IT時代の巨大石油企業の戦略転換

 2019/03/17

・3月11日に、恒例のCERAウィークが開催された。これはCambridge Energy Research Associates(同社のヤーギンなどの名前は聞いたことがあるだろう)の顧客がエネルギーの将来に関して新たな視点を得るために集まる会議でシンクタンクのIHSMarkitが主催している。

 

・ここでの講演者として、ヤーギンなどと並んで、Andy Jassyの名前があった。彼は言うまでもなくアマゾンAWSの責任者だ。

 

・巨大石油企業は、不安定な原油価格、不透明な将来石油需要に直面して、ITの力を借りながら方向転換を図ろうとしている。その場合ビッグデータとAIが決め手になる。エクソン・モービルは、これに対しマイクロソフトのクラウドを用いるようだ。

 

・グーグルはこの動きにやや遅れているが、最近BP出身者(Darry Willis)を迎え入れた。彼によると、石油企業は所有データの1-5%を活用しているに過ぎないという。

 

・石油企業は、ITを使うことで石油の生産販売の効率化を図ろうとしているが、それ以外にも新たな分野への進出に積極的だ。シェルは最近ドイツのSonnenを買収した。同社はヨーロッパ最大の家庭用バッテリーメーカーだ。アメリカではテスラ(Tesla Powerwall)が3割のシェアを握るがSonnenはそれに次ぐ19%のシェアを有するという。同時期にジーメンスもJenelight Smart Batteryの家庭用バッテリーを販売すると述べた。いよいよ家庭用バッテリが本格化する時代に入りつつあるようだ。

 

・話はシェルに戻るが、シェルの意図は明確だ。同社は2030年までに世界最大の電力会社になることを目指している。これは同社の温暖化ガス排出量低下の目標達成のためでもある。

 

・同社がこれに商機を見いだしているのは、既存の電力企業が、「伝統的な戦略に縛られ、石炭火力や原子力を持ち、しかも大規模集中化のビジネスモデルに固執しているからだ」という。こうした波は、近いうちに日本も直撃することになる。さてどうなることか。

 

(参考)

・Economist,"Tech firms ramp up to woo the energy industry",March 19,2019

・Mcgee P.,"Shell and Siemens lead Europe's charge into home power strage",FT,

March 11,2019

・Crooks E. and Raval A.,"Shell aims to become world's largest electric company",FT,March 12,2019