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5Gとその先

5Gとその先

 2020.01.04

・世間はケータイの4Gから5Gへの転換で騒いでいるが、この分野はさらにその先を見据えて置く必要がありそうだ。

 

・1947年にRae YoungとDoug Ringが”モバイルテクノロジー”という論文で、移動通信の可能性を示し、1968年にベルラボとアメリカ交通局が、ワシントンとニューヨーク間の高速鉄道の移動電話にこの方式を採用してから、約50年が経つ(Wheeler,p162)。

 

・その間、移動体通信ネットワーク(mobile communication network)は1990年代にディジタル方式が普及し、さらに2000年代には3G、そして3.9G(LTE)となり、さらに4Gから5Gへの展望が開けつつある。この間、伝達方式はパケット化が進み、1990年代にはVoa(Voice over ATM:asybchribiys Transfer Mode、53バイトの固定長データを通信単位とする)からVoIP(Voice over Internet Protocol)への転換が進み、ラインやスカイプが実用可能になった。

 

・現在、この分野で面白い動きが2つある。第一は、アメリカがファーウェイ(Huawei)排除のために利用しようとしているO-RAN(Open Radio Acess Network)方式である、これはオープンソースで5Gを実現しようとするもので、ファーウェイのようにソフトからハードまで一式を一社が提供する(いわゆるC-RAN:集中型無線アクセスネットワーク)方式ではない。O-RAN Allianceは2018年2月にAT&T,チャイナモバイル、NTTドコモ、オレンジによって設立された。

 

・もう一つの動きは、5Gの先だ。インターネットや自動運転のきっかけを作ったことで有名なDARPA(アメリカ国防高等研究計画局)はこの分野でグランドチャレンジを行っている。それはSC2(Spectrum Collaboration Challenge)と呼ばれている。そのポイントは、周波数の有効利用である。現在は一つの周波数をある用途に使うと、それが固定されてしまう。これは周波数の希少性を考えると、あまり良いやり方ではない。そこで利用状況に応じて、周波数をダイナミックに割り当てることができれば、この問題は解決する。このチャレンジには30チームが参加し、結局10チームに絞られた。そして最後にフロリダ大学のチームが賞金200万ドルを獲得したようだ。

 

・モバイルシステムは、セルラーネットワークと呼ばれるように、基本的に分散型処理体系だ。その伝達の鍵となる周波数の希少性が解決されれば、これからの通信需要の急拡大(いわゆるIoTなど)に一つの解決策が見いだされるかもしれない。

 

(参考)

・Kiran Stacy,"Pentagon wants open-source 5G lan in campaign against Huawei",FT,2019.12.23

・Karen Hao,"DARPA is betting on AI to bring the next generation of wreless devices online",MIT Technology Review,Oct.25,2019

・Tom Wheeler,From Gutenberg to Google,Brookings Institution Press,2019