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日本企業のあり方とアンチパターン

日本企業のあり方とアンチパターン

 2020.09.12

・アンチパターンとは、ソフト開発の用語で、プロジェクトが必ず失敗する手法のことを言う(デザインパターンの反対語)。たとえば”The Blob”(肥満児:肥大化しすぎたプロジェクトは失敗する)、”Spaghetti Code”(スパゲッティ・コード:構造が理解できないような入り組んだソフト)など。コードがやたらに長くなれば、マンモスと同じで管理できなくなる。またきちんとしたデザイン論理が通っていないと、やたらに細部が複雑になって、結局バグの発見さえ難しくなる。これについては後で戻る。

 

・シンクタンクのマッキンゼーがこの概念を、企業の技術導入の失敗要因に応用している。おそらく企業コンサルティングをしているうちに、見出したものだろう。たとえば以下の通り(詳しくはマッキンゼーレポートを参照)。

 

 *「本当に役立つかどうかを検討せずに、あらかじめ決定された技術を導入する」

→(改善策)まず新技術の内容をきちんと理解し、”バカな”(素人としての)質問を担当者にぶつけることで、その技術が本当に役立つかを確かめる。

 

 *「完全に成熟していない技術を導入する」

 →(改善策)簡素で成熟した技術を導入する。

 

 *「十分な技術力もないのに自前でクラウド・インフラを立ち上げる」

 →(改善策)既成のパブリック・クラウドを利用する。

 

・もとのアンチパターンに戻るのだが、そこにはソフト開発の失敗というより経営失敗のパターンが整理されている(ウィキペディア参照)。それを見ていると、(失礼だが)日本企業のA社、B社、C社を思い浮かべてしまう。

 

 *暗室栽培(mushroom management):部下に情報を伝えなかったり、誤った情報を伝える。

 

 *組織硬直(design by committee):多数の人が設計に関与しているが、統一された考え方がない(政府の審議会?)。

 

 *ドル箱商品:収益が上がっている古い商品に満足して、新しい商品に無頓着になる(某基幹メーカーの生産量はここ数十年変わっていない)。

 

 *閻魔の組織管理:異議を許さない、独裁的な組織管理方法(今の半沢ドラマのテーマ)。 

 

  *死の行進(Death March):プロジェクトが失敗に終わることをCEO以外の全員が気づいているが、プロジェクトはデイ・ゼロ(ビッグ・バン)が来るまで無理やし存続させられる(某社の飛行機開発)。

 

・今の日本企業に問われているのは、こうしたアンチパターンからの脱出だろう。それができないと、将来は厳しい。

 

(参考)

・Sven Blumberg,Thomas Delaet and Kartikeya Swami,"Ten 'antipatterns' that are derailing technology transroamations",McKinsey Digital,July 2020

・ウィキペディア、”アンチパターン”