テスラ2題
2021.07.03
・最近テスラに関して2つほど面白い話題があったので紹介する。
1.ポルシェタイカンとテスラモデルSとの性能比較
*ポルシェといえば高級スポーツカーのリーダーだ。これのEV(モデルSブレイド)とテスラsとの性能比較が面白い(https://bestcarweb.jp/feature/column/261350?prd=3)。
*両者は、価格(1450万円[ポルシェ]、1500万円弱[テスラ])、重量(2.9トン[ポルシェ]、2.98トン[テスラ])、ホイールベース(2.9メートル[ポルシェ]、2.96メートル[テスラ])でほぼ同じ値となっている。
*違うのは、性能で、航続距離(337-407キロメートル[ポルシェ]、628キロメートル(推定)[テスラ])、最高速度(250㎞/h[ポルシェ]、322㎞/h[テスラ))、時速100キロ/時に達するまでの時間(4.0秒[ポルシェ]、2.1秒[テスラ))などとなり、テスラがポルシェを圧倒している。ちなみに時速100キロ/時に達するまでの時間が2秒というのはフォーミューラーワン・カー並みの速さだ。
*ポルシェが後発であることを考えると、この差は大きい。つまり自動車メーカーの老舗がその持てる技術力を振り絞っても、EV時代には、ナンバーワンになれないということだ。
2.テスラの新たな充電方法?
*テスラの強みの一つは、ユーザーがいろいろと実験して、その結果をyoutubeに乗せることだ。要するにテスラのユーザーはゲーム感覚で面白がってテスラで遊んでいる。
*EVの泣き所は、充電だ。走行中に電池が切れたらやっかいだ。しかし特に日本なのではまだ充電インフラは必ずしも十分ではないので心配な方も多いだろう。
*アメリカのあるユーザーがこれを奇抜な方法で”解決した”。
*ご承知のように、テスラ車には、回生ブレーキがついている。つまりブレーキをかけて減速すると、その間駆動力はマイナスになるので、その分をバッテリーに戻してやるのた。
*とすれば、電池切れになりそうになったら、他のクルマでテスラを引っ張ってもらえば、回生ブレーキが働いて、バッテリー充電ができるはずだ。
*これを思いつたリッチさんは、テスラを時速70マイルで走行中に、アクセルから足を話したところ、回生ブレーキが働いて、65kwの電力を充電したことを思い出した。ちなみに都市部にある小型の充電チャージャーの出力は72kwで、上の値とそう変わらない。
*そこで充電切れになりそうなテスラ(バッテリー残量14%)をベンツで引っ張り、高速道路上で70マイル/時程度で 30分ほど走ったら、バッテリー残量は50%程度まで回復したそうだ。
*この一部始終は、youtubeで公開されている。
*こうした発想は、プロのエンジニアからはなかなか出てこない。テスラはユーザーが面白がっていろいろな実験をすることで、その衆知(collective intelligence)を活用している 。
・以上の2つのエピソードを見ても、クルマの世界が大きく、しかも急速に変わりつつあることを実感する。
・前から何度も言っているように、日本経済はクルマで食っている。日本のクルマメーカーが世界の覇者から駆逐されるとき、日本経済は極めて難しい状況に追い込まれる。クルマ関連ジャーナリストの多くは、日本メーカーと関係が深いため、こうした問題に正面から立ち向かおうとはしない。困ったものだ。
(参考)
・光雅、”ポルシェタイカン対テスラモデルS!究極のEVサルーン最強はどっち?”、2021.03.20、ベストカーWEB,https://bestcarweb.jp/feature/column/261350?prd=3
・Warped Perception,”テスラ車を時速113㎞でけん引すればバッテリーを高速充電できるのか”、Gigazine,2021.06.23”
https://gigazine.net/news/20210623-towing-tesla-replenish-battery/