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オミクロン・ウィルスの最新状況(2022.01)

オミクロン・ウィルスの最新状況(2022.01)

・日本でもオミクロン・ウィルスの感染が急速に広がっており、3回目の接種を含め様々な対策が取られ始めている。

 

・今回のオミクロン株の特色は、Our World in Dataのデータを見るとわかりやすい。そこでは、英国を例にとってデルタ株の感染拡大状況との比較がなされている。

 

・これを見ると、①オミクロンの感染拡大スピードは、デルタをはるかに上回る、②しかし入院患者や死亡者数はデルタを大幅に下回ることが見て取れる。

 

・この違いは、ワクチンの三回目接種が英国で進んだこと(昨年12月に追加接種を30歳以上に拡大)、またオミクロンがデルタと異なり肺でなく、上気道に感染するためだろう。

 

・問題なのは、ワクチンの非接種者への感染で、特に子供への感染が懸念されている。

 

・一つの朗報は新ワクチンが開発中であることだ。これはmRNAベースではなく、タンパク質組み換え型である。これは、mRNA型より低コストで生産できかつ貯蔵条件がそれほど厳しくない。昨年12月に、WHOはノババックス製のタンパク質組み換え型ワクチンの緊急使用を認めた。

 

・また治療薬も開発が進んでおり、メルク製の傾向治療薬モルヌピラビルなどの使用がいくつかの国で認可された(日本でも昨年12月に承認)。

 

・日本の場合、残念ながら、ワクチンの自国開発もできていない。今回のオミクロンの波に関しても、まず追加接種を受けて、静かにしていることぐらいしか対応方法はないだろう。

 

・問題なのは、オミクロンが最後の感染の波ではないことだ。この波は別の変異体とともに、繰り返される可能性がある。われわれは当面それに適応していくことしかできないが、ワクチンや治療薬の開発には希望がもてそうだ。

 

(参考)

・Editorial,"COVID is here to stay:countries must decide how to adapt",Nature,10 Jan.,2022

・Our World in Data,"How do key COVID-19 metrics compare to previous waves",Jan.14,2022

・Nancy Filesler,”Emerging protain-based COVID-19 vaccines could be game-changing",Dec.17,2021