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風に向かへ:upwindへの道

風に向かへ:upwindへの道

  2022.04.02

・知人のところでネットフリックスの連ドラ「新聞記者」を見た。これは政治家の無責任な発言をつじつま合わせするために、財務省の役人が書類を改ざんし、その任務に負わされた担当者が自殺に追い込まれるという事実を追っている。

 

・新聞記者役が米倉涼子、自殺した役人の妻役が寺島しのぶ、役人の甥で就活に励む大学生役が横浜流星(”しろときいろ”で好演)と役者がそろっている。内容もテレビで流す連ドラと異なり、しっかりしていた。

 

・これを見ながら思ったのだが、日本の今の統治機構(政治家や高級役人)はすでに老朽化している。それは、激変する現代に対応できず、時代遅れの存在となっている。ちょっとやりきれない思いだ。

 

・ではどうすればよいか。ここで話は、突然のことだが、ウィンドサーフィンに飛ぶ。海で波を切って走るやつだ。見たことがない人はヨットを思い浮かべてくれればよい。

 

・ウィンドサーフィンは風上に進むことができる。つまり風の吹く方向に向かって進むことができる。正確には”間切る”(もしくは上る)と言っているが、風の揚力をうまく使って、風上へとジグザグを描きながら進むことができる。野球でカーブが投げられるのと同じ理屈だ。ここで言いたいのは、現状を嘆くだけの(風の吹くままに流される)必要はないということだ。うまくやれば、風の力(揚力)を利用して、時代の流れに逆らって進むことができる。もしかしたら時代の流れを変えることができるかもしれない。

 

・それには道具がいる。風上に進むためにはウィンドサーフィンやヨットという道具が必要だった。われわれが、このご時世に流されないためにも道具が必要だ。今の時代、それに使えるのはIT革新だ。これをうまく使うことで、時代の風に逆らって進むことができる。

 

・具体的にどうすればよいのか。これまで古ぼけた統治機構を変えたのは、明治維新では下級武士、第二次大戦後では進駐軍だった。後者はやや残念な話だが、進駐軍が行った改革(陸海軍の廃止、財閥解体、農地解放、労働組合の合法化など)が戦後発展の基礎となったのは否定できない。

 

・今回の場合は、オープンソースによるプラットフォームをうまく使えばよい。これを活用すれば、役人や政治家は不要となる。まず政治家だ。今の政治は間接民主制をとっている。われわれは選挙で政治家を選び、その人達に、政治的決定をゆだねている。このシステムは、情報伝達が難しい時代の産物だ。今の時代なら、ウェブを使った直接民主制の方がよほどうまくいく。古くさい政治家の代わりに、一般人の衆智を活用すればよい。

 

・また役人に関しても同じことがいえる。あのような人たちを、今の時代は必要としない。旧陸軍の軍人と同じで、頭が固く、時代の流れが読めない。また読もうともしない。こうした官僚制をなくせば、税金も減り、財政も健全化できる。彼らは、国民より、政治家の目線をうかがう。たとえば、日銀の体たらくをみればよい(日銀は正確には役人ではない)。ひたすら低金利を追い、株価を維持するだけで、思考停止に陥っている。それこそ英国銀行のハルディーンでもスカウトしてきたいほどだ。

 

・最初の話に戻るが、日本が曲がりなりにもうまく回っているのは、現場を支える(ネットフリックスのドラマでいえばノンキャリアの役人)がしっかりしているからだ。今回のドラマのように、この部分が壊れ始めると、この国の将来は本当に危ない感じがする。