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日本のEV(電気自動車)、周回遅れ?

日本のEV(電気自動車)、周回遅れ?

  2023.01.14

・アメリカでEV(電気自動車)のシェアが急増している。ウォールストリート・ジャーナル紙によると、2022年にアメリカの自動車販売台数は縮小したが、EVの販売は7割近く伸びたというWSJ,Jan.7,2023)。その販売台数は80.7万台とアメリカの新車販売の6%弱を占めた(モーター・インテリジェンスによる)。

 

・この中で相変わらずテスラのシェアは大きく65%を占めた。2位はフォードの8%弱、三位は韓国の現代自動車と起亜の合計で7.1%。

 

・テスラの発表によると、速報だが2022年第4四半期のテスラの世界販売台数は40万台強で前年に比べ4割増だそうだ。

 

・他方で日本車は、EV(電気自動車)世界市場で影が薄い。国内ではEVの販売台数はそれなりに伸びて、2022年は5.8万台だった(自販連、全軽自協発表)。このうち日産の軽EVサクラが2.2万台を占めたという。これは204万円弱だが、一回当たりの充電で走れる距離が短い(180キロ)。したがって世界市場で勝負できるクルマとは思えない。ちなみに日本でのテスラの販売台数は、2014年から2022年1月26日までの総合計で1.1万台だった。

 

・日本で問題なのは、自動車メーカーが本気でEV(電気自動車)開発に取り組んでこなかっことだ。IT専門家の中島聡氏によると、トヨタに関しては、その間の事情は、以下の通り。

 

 *トヨタが本気でEV開発を始めたのは2020年ごろ。当初は、既存のプラットフォームを活かしつつ、ハイブリッド車と両立させながら、開発を進めるという姿勢。

 

 *他方でテスラは4680という新バッテリーやギガプレス(巨大なプレスマシン)で製造過程でイノベーションを進め、既存のクルマメーカーが「コスト的に対抗できない」ところまで進化。

 

 *製造コストの差が「粗利の差」に直結するため、今のプラットフォームのままで戦っても勝ち味がない。

 

・以上を踏まえて、トヨタもようやくEV用の専用プラットフォームの開発に踏み切るようだ(WSJ,Jan.14,2023)。しかしちょっと遅すぎという感じがする。

 

・日本経済は、やや単純に言えば、自動車で食っている。これがケータイで経験したように、世界優位の座を失えば、それは直接、日本経済の失速につながりかねない。

 

・さてどうしたものか。

 

(参考)

・Tesla,Press Release,Jan.2,2023

・Mike Colias,"U.S.EV sales jolted higher in 2022 as new comers target Tesla",WSJ,Jan.07,2023

  「米EV販売急増 テスラに猛追の既存メーカー」

・River Davis,"Toyota considers new EV-dedicated platform",WSJ,Jan.14,2023

 「トヨタ、EV量産へ専用プラットフォーム検討」

・日経新聞、「国内新車販売 EV比率最高」、2023年1月12日

・Business Insider,”テスラ「非公表」の国内販売台数が”国交省資料”から判明”

 2022年3月16日

・中島聡、Life is Beautiful,2022年11月1日号