2025年の日本:エコノメイトとIMF予測との比較
2023.01.22
・世界経済や日本経済の今後を見る際に役立つのが、IMF(国際通貨基金)が定期的に発表する世界経済見通し(World Economic Outlook,略称WEO)だ。最新版は昨年10月に発表されている。
・この予測では、翌年の経済だけでなく、2027年までの各国の経済見通しが計算されている。
・ここではこのIMF見通しと、当方の発表した年次予測(エコノメイト、2023年版)の標準予測とを比較することにより、IMF予測(以下WEOと略す)の特性をみてみよう。
・結果は下の図に示されている。
・まず経済成長率では、WEOが、2022年の成長率1.7%、23年1.6%、24年1.3%、2025年0.9%と徐々に成長率は低下するが、当初の数字を除き、やや高めの数字となっている。これに対しエコノメイトでは、2022年の成長率2.9%、23年0.9%、24年0.9%、2025年0.8%と、当初のリバウンドは大きいが、その後の成長率はやや低めとなっている。
・インフレ率の代表数字である消費者物価でみると、WEOが2022年の伸び率2.0%、23年1.4%、24年1.0%、2025年1.0%と低い伸びを予測している。他方でエコノメイトは。2022年の伸び率1.8%、23年2.3%、24年2.6%、2025年2.9%とインフレの高進を予測している。
・失業率は、WEOの方がエコノメイトより若干低い値を予測している。また経常収支の黒字もWEOの方がやや高めだ。
・つまりIMF予測は、コロナショック後の日本経済の順調な回復を予測しているが、エコノメイトはやや厳しめの予測となっている。
・これはIMF(WEO)が各国政府機関の出向者からなることと関係するだろう。したがってどうしても政府寄りの楽観的数字を出さざるを得ない。IMF予測を将来予測の参考に使うのは構わないが、こうしたバイアスがあることは知っておく必要がある。
・当方は、今年度前半に、「日本経済、1ドル180円ケース」の試算を発表する予定である。これは結果の数字だけでなく、ユーザ自身が想定を変えて計算できるソフトとなっている。乞ご期待。
(参考)
・IMF,世界経済見通し、2022年10月
・エコノメイト、年次モデル、2023年版