· 

イーロン・マスクのOpenAIへの挑戦

 イーロン・マスクのOpenAIへの挑戦

   2023.04.16

・最近chatgptが登場したが、確かに面白い。当方もこれのAPI(対象のプログラムを外部から操作するための入り口)をたたいて、e予測シミュレータとの連携をテスト中だ。シミュレータが求めた予測結果をchatgptに放り込んで、解説文章を書かせるのだ。

 

・この面白さは、約50年前にコモドールのパソコンを購入して、プログラムをbasicで書いときに似ている。

 

・生成APIに関して、最近面白い動きが出てきた。それはイーロン・マスクがオープンAIに対抗するスタートアップを立ち上げたというニュースだ。フィナンシャルタイムズ紙の特ダネ。

 

・マスクはオープンAIに当初から参加していたが、この記事によると、その経営方式に関して他の理事と意見が合わず、2018年に手を引いた。オープンAIは、その直後にマイクロソフトからの資金供与を受け入れた。

 

・マスクは本年3月9日にX.AIなる企業を立ち上げ、AI分野のプロを集め始めている。たとえばディープマインドに勤めていたイゴール・バブシュキン(Igor Babuschkin)を雇い入れた。またエヌビディアからも高機能GPUを数千個購入している。

 

・この分野は競争がはげしいが、マスクの利点の一つは自らスパコンを設計していることだ(Dojo)。これに関して思いだしたのだが、彼がテスラを開発したときそのCPU設計にジム・ケラーという天才を連れてきた。今回もこうした天才をうまく使いこなすだろう。おそらくマスクはDojoとGPUを組み合わせた新たな仕組みを考案中だ。それは自動運転にもつながり、ちょっと楽しみだ。

 

・最近のITはアップルのM1もそうだが、自社でプロセッサーを開発できないと競争に勝ち抜けない。この意味で生成AIの分野でも生き残れるのはほんの数社だろう。

 

・翻って日本を見ると、この分野で影も形もない。まことに残念なことだ。

 

(参考)

・Madhumita Muriga &Tim Bradshaw etal,,”Elon Musk plans artificial intelligence start-up to rival Open AI",FT,Apr.15,2023

・An Anand Tech,""Apple・AMd・テスラ・Intelを渡り歩いた天才エンジニアのジム・ケラー氏へのインタビュー”、2021.06.21