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世界自動車メーカー・レーティング2022年版を読む

世界自動車メーカー・レーティング2022年版を読む

  2023.06.18

・世界自動車メーカー・レーティング(The Global Automaker Rating)2022年版が最近発表された。これは世界のトップ乗用車メーカー20社に関して、そのZEV度(ゼロエミッション車:車の走行で健康や環境に有害な二酸化炭素や窒素酸化物を排出しないクルマ)を評価しようというものだ。

 

・評価は市場支配力(market dominance)、技術水準(technology performance)、戦略ビジョン(strategic vision)の3側面からなされている。

 

・第一の市場支配力に関しては、その企業の販売総量に対するZEV車シェアでみている。トップはBYD(中国:比亜迪汽車)で二位はテスラだ。フォルクスワーゲンが6位、ルノー8位、ベンツが9位などとなっている。日本車では日産が11位、トヨタが12位である。

 

・第二の技術水準に関しては、エネルギー消費量、充電スピード、走行距離などで比較している。トップはテスラ、2位はBMW、3位はフォルクスワーゲン、4位にヒュンダイ・起亜が入っている。日本車はトヨタが10位、ホンダが15位などとなっている。

 

・第三の戦略ビジョンでは、テスラが1位、BYDが2位、GMが3位、ルノー5位、BMW6位などとなっている。日本車ではホンダが14位、日産15位、トヨタは19位。

 

・全体を総合すると、テスラが一位(83ポイント)、BYDが2位(73ポイント)、以下3位BMW(56ポイント)、4位フォルクスワーゲン(53ポイント)などとなっている。日本車の存在感は薄く、トヨタ16位(30ポイント)、ホンダ17位(28ポイント)、日産18位(27ポイント)である。

 

・つまり日本のクルマ屋は、このレーティングを見る限り、世界のEV化の波に立ち遅れている。その原因は、トップメーカーであるトヨタのEVに対する慎重な姿勢と、他のメーカーのそれに追随する動きにある。ちょっと疑問なのは、経済産業省が果たしてきた役割だ。産業技術の先を読んで、メーカーの指導に当たるはずべきなのが、これまで何をしていたのだろうか。

 

・株式総会は、こうした流れに対する一つの対抗力だ。今年のトヨタの株式総会で米ニューヨーク州の会計監査官事務所やカリフォルニア州職員退職年金基金(カルパース)などは豊田章男会長ら数人の取締役選出に反対票を投じた(昨年の株式総会で同氏は96%の賛成票を得ていたが、本年はその数字が85%に落ちた)。つまり日本の役所やマスコミに代わって世界の投資機関がトヨタのEVに対する姿勢に疑問票を投じたのだ。

 

・こうした動きは日本国内ではあまり報道されない。しかし日本経済の動向は自動車産業にかかっている。それが時代の波に乗れないようでは、ちょっと心配だ。

 

(参考)

・ICCT,The Global Automaker Ratings 2022,2023.05.31

・River Davis,"Toyota BossPushback over EV Strategy in shareholder Vote",WSJ,2023.06.13

 「トヨタ会長に株主が『反旗』EV戦略納得せず」