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「六本木クラス」をみる

「六本木クラス」をみる

  2023.12.02

・ネットフリックスでドラマ「六本木クラス」をみた。これはテレビ朝日で2022年7月より9月まで木曜ドラマとして放映されたものだ。

 

・前半は大したことはなかったが、中盤からドラマの展開に引き付けられた。そこで、作成の背景を調べてみると(ウィキペディアによる)、韓ドラの「梨泰院クラス」の翻案であることが分かった。

 

・内容を知らない方に、簡単に紹介する。

 

 *これは、宮部新(主人公)と長屋茂(長屋ホールディングス会長)との戦いをめぐるドラマだ。宮部は父を長屋の息子にひき逃げされ(長屋の影響力で立件されない)、彼はこの息子に対する暴行で逮捕され7年間刑務所に入る。宮部は長屋に対する復讐の念を強める。

 

 *宮部は出獄後、マグロ漁船に乗って金を貯め、長屋の本拠地である六本木に居酒屋を開く。彼の仲間は、彼が、獄中や工場でいじめらていたところを助けた2人だ(内山亮太と綾瀬りく)。これにIQ162でニューヨーク帰りの帰国子女(日本になじめない)の麻宮葵が加わる。さらに高校時代長屋の息子にいじめられていた桐野雄大が一流の金融専門家となり、財務面で彼らを助ける。

 

 *彼らは、様々な苦労の上に、テレビの料理人対決で長屋の料理に勝ち、さらに桐野のアドバイス良きを得て、資金運用に成功し、居酒屋のフランチャイズ展開を進めていく。

 

・といった内容なのだが、詳しくはドラマを直接ご覧になってほしい。

 

・このドラマで引き付けられたのは、宮部と4人の仲間(内山、綾瀬、麻宮、桐野)の性格付けだ。今の日本では、”親ガチャ”などといって、親の出自によって子供の将来が決まるという、(筆者の考えでは)ばかげた考えが横行している。しかしこのドラマの主人公4人は、その出自が”親ガチャ”どころか、普通の親の平均にも達しない。それでも皆で知恵を絞りあい(それができるのはネット時代だからでもある)、既存の大組織に戦いを挑み、なんども挫折を味わいながら、勝ち抜いていく。これは、まさに昭和の高度成長を支えた若者たち(たとえばホンダの本田宗一郎やソニーの井深大)の姿だ。

 

・昭和を知らない人は、源氏鶏太の「三等重役」をぜひ読んでほしい。これは第二次大戦後の財閥解体で、偉い人が急にいなくなった会社の重役となった凡人をめぐるユーモア小説だ。

 

・たしかに今の政治家を見ても、親が偉かったり、もしくは先祖代々の地盤が強かったりする人たちが、偉くなっている。今の若者が、”親ガチャ”という言葉に逃げこむ気持ちもわからないではない。しかしこのドラマではないが、そんなことはない。誰にも可能性は無限にある(と筆者は信じる)。

 

・最後に、気に入っているヘンリー・フォード(自動車王)の言葉を記しておく。

 

 When everything seems to be going against you, remember that the airplane takes off agaist the wind, not with it.

 

   (向かい風が吹いているときには、思いだそう。飛行機はそれに乗って離陸するのであり、追い風によってではない)