気になる欧米軍事専門家の警告
2024.04.14
・最近はガザをめぐる戦闘で中東地域の緊張が高まっている。またウクライナでも戦線が膠着し、ウクライナ側にとって厳しい状態になり始めている。
・このほどスウェーデンがNATO(北大西洋条約機構)に加盟した。昨年にはフィンランドも同機構に加盟している。これは来るべき戦争に備えるためだろう。
・これまで平和だった北欧に何が起こっているのか。いくつかの気になる動きを国際情報専門家ジェーソン・ボルザノ(Jason Bolzano)がまとめている。なお彼にはIntelligence and Espionage in the Cold War and Beyondという著書がある(Kindle版)。
*ドイツ国防省の内部資料が報道陣にリークされた。それによると数年以内にロシアとの戦争が起こる可能性があるという。
*英国の参謀長(Chief of the general staff)は次のように述べた。「われわれは戦前派(pre-war generation)だ。1930年、もしくは1939年の人々と同じだ。・・・(英国民にとって:筆者注)徴兵制施行の可能性がある。
*ノルウェー軍司令官、エイリク・クリストファーセン(Eieik Kristoffersen)は、同国の報道機関NTBに、以下のように述べた。
①「われわれはロシアとの戦争準備に備えるため1年か2年しかない。楽観的に見ても3年だ。・・・ノルウェー国民は、個人的に備えを始めたらよい。基礎的資材(食料、トイレ紙など)を備えよ」。彼によると、ウクライナ支援のために爆弾や弾薬のストックがなくなりかけているという。
②ロシアは、イランや北朝鮮との同盟関係を緊密化しており、戦争経済の機構を整えている。
*スウェーデンの民間防衛大臣(Civil Defence Minister)も自国民に対し同様な警告を発した。
・こうした主張を、軍人の国防予算獲得のためのレトリックとみることもできる。しかし平和国家で名高かった北欧諸国がこうした警告を発していることを無視することはできまい。
・これまで日本はこうした国際情報の受け止めと解釈に不得手だった。これは第二次大戦当時、大本営参謀だった堀栄三氏の著書を読むとよくわかる。その時代からすでに80余年、その間どれほどの進歩がされただろうか。この難しい現代に、どのように情報をとり、それをどう解釈し、どのような対応をとるかが、今後の日本の命運を決めるだろう。
(参考)
・Jason Bolzano,"Norway:War is Near,Stock Up on Food,Norwegian General Staff Urges Citizens",Medium,Jan.27,2024
・堀栄三、「大本営参謀の情報戦記」文春文庫、2013