ウクライナ停戦の可能性
2024.06.09
・最近日本のテレビや新聞で見る限りは、ウクライナ側は手詰まりで、戦争の行方はわかないというトーンが強い。
・しかしロイター電によると(2024.05.24)、必ずしもそうではないようだ。以下その論点。
*ロイター電は、「プーチン氏は停戦を望んでいる」という。その方式は、朝鮮動乱の時と同じで、”現状での停戦”というものだ。ちなみに朝鮮動乱の場合、1953年に停戦してから、それが71年も続いている。
*プーチン氏が停戦を望むのは、①この戦争でロシア側は勝てないし、領土の拡張もできないことを理解している、②万一負ければ、プーチン氏の政治的立場は崩れてしまう、③停戦なら、ロシア側は”勝利”と国内向け発表ができる、からだ。
*実際のところ、この戦争でのロシア側の被害は大きい。ウクライナ側の発表によれば、5月24日だけで、ロシア兵士の負傷または戦死1,140名、ロシアのタンク15基破壊、ロケット発射装置2基破壊したという。この数字がやや誇張されているとしても、かなりのものだ。
*他方で、ロシア軍の腐敗はかなりひどい。ちなみにプーチン氏はセルゲイ・ショイグ(Sergei Shoig)国防大臣を更迭し、アンドレイ・ベロウソフ氏(Andrei Belousov)に代えた。ベロウソフ氏はエコノミストで軍事の専門家ではない。
*ウクライナ側のドローンによるロシアの製油所爆撃が効果をあげている。このためロシアの石油輸出は2024年3月から4月にかけて19%減少した。これはロシア経済にかなりの打撃を与えている。
*ロシアの頼みは北朝鮮による武器提供だ。どうもロシアの弾薬生産は、消費に追いついておらず、中国は弾薬提供を拒否しているようだ。
・問題はウクライナのゼレンスキー大統領が停戦を受け入れるかどうかだ。バイデン大統領や中国の習国家主席ならこの案をウクライナ側に呑ませることは可能だろう。問題は彼らがそれに踏み切るかどうかだ。
・このロイター電は、出所が明確にされていないが、どうもプーチン氏側が意図的にリークしたものではないかというのが、medium記事の筆者の推測だ。
・なぜ当方にとって、この議論が気になるかというと、国際情勢に関して、mediumのニュースはかなり早く、的確だからだ。たとえばトランプの有罪判決の可能性とその意味するものは、mediumでは判決のかなり前に報じられていた。
(参考)
・Daniel Jennings,"Putin Admits he's lost the War",Medium,May 26,2024