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バイデン氏の代わりとしてのギャビン・ニューサム知事の可能性

バイデン氏の代わりとしてのギャビン・ニューサム知事の可能性

 2024.06.29

 

・バイデン大統領と共和党の大統領候補トランプ氏とのテレビ討論会(6月27日)は、圧倒的にトランプ氏が   

 勝ったようだ。

 

・賭市場(betting markets)によると、バイデン氏の勝利確率は討論会前の36%から22%へ低下し、カリ   

 フォルニア州知事ギャビン・ニューサム氏のそれが10%に上昇したという。

 

・ギャビン・ニューサム氏に関して、当ブログでは前回大統領選から注目していた(「ギャビン・ニューサムに 

 注目」、2019年9月21日)。そこでの記述は依然として有効と思われるので、再録しておく。

 

   ・ジェリー・ブラウン知事が2期務めたあと、登場したのがギャビン・ニューサムだ。彼は2019年1月           に第40代カリフォルニア州知事に就任した。

 

   ・この男の履歴は面白い。まず最初の黒人サンフランシスコ市長となったウィリー・ブラウンに見いだ             され、市政に参画した後、36歳でサンフランシスコ市長に選ばれ、2期勤めた。その後ジェリー・ブ               ラウンの下で副知事を務め、州知事となった。

 

   ・ではなぜ彼に注目するのか。それは彼の著書、”シチズンビル”(Citizenville)を読むとわかる。ち                 なみに邦訳タイトル、「未来政府」ではこのニュアンスは伝わらない。シチズンビルはファームビ                ルをもじっている。

 

    ・ファームビルは、ジンガ社(Zynga)が開発したゲームで、オンライン上で人々が協力し合いなが            ら農場を開拓していくものだ。ニューサムによれば、このゲームは、①ソーシアルメディアがあま                ねく普及していること、②テクノロジーに精通した若い米国民の間でゲームや競争が人気を集めて                いること、をうまく利用している(ニューサム著作、p13)。だとすればこうした社会トレンドを政              府改革(IT革新にふさわしい政府)に使えばよいではないか、というのが彼の発想だ。彼の本のタイ             トルがシチズンビルというのは、まさにこのファームビルをもじっている。

 

    ・彼はサンフランシスコ市長として8年間、IT技術を活用した市政の近代化に取り組んできた。その実               体験と副知事時代の州政治の経験を使って、カリフォルニア州政をIT時代にふさわしいものに変えて               いく。

 

   ・今アメリカ政治というと、皆トランプ氏の動向に目を向けている。しかしアメリカの新たな動きは、              このカリフォルニアからはじまるかもしれない。新知事となったニューサムはそれだけの実績と知見              を積み上げてきている。トランプ現象が終わった後、次に来るのは、カリフォルニア旋風かもしれな              い。」

 

・今回の都知事選でも、ソーシアル・メディアを活用した候補が登場している。いずれにせよ、アメリカ大統 

 領選挙は波乱含みだ。これが世界情勢に与える影響も大きい。日本としても、様々な可能性を考えて、プラ  

 ンA,プランB、プランCを考えておくべきだろう。

 

・出張のため、2回ほどブログを休みます。

 

(参考)

・Jonathan Vincent,"Biden's odds of winning drop significantly in betting markets",FT,June 28,2024

・当ブログ、「ギャビン・ニューサムに注目」、2019年9月21日

・Gavin Newsom,Citizenville,Penguin Books,2014

邦訳、ギャビン・ニューサム、「未来政府」、稲継裕昭監訳、町田敦夫訳、東洋経済、2016