テスラのFSD(Full Self Driving)に関して
2024.08.17
・テスラの自動運転機能であるFSD(Full Self Driving)が進化を遂げたようだ。これをIT専門家で、テスラ車のユーザーでもある中島聡氏がブログで紹介している(参考文献[1])。以下それに従う。
・テスラのFSDは、他社の自動運転システムに比べ2つの特色を持つ。
①他社は物体検出に高価なLIDARシステム(レーザーを利用した対象物までの距離測定装置)を使用しているが、テスラはカメラだけを使用。
②他社は精密な3Dマップを利用して自動運転の実現を図っているが(Waymo,Cruise、日産のプロパイロットなど)、テスラは「地球上でどこでも走れる」を重視し3Dマップなしで自動運転を実現。
・テスラはすべてのテスラ車にFSDに必要なハードを搭載し、ソフトウェア・オプションでFSDを提供することにした。ちなみにFSD向けのコンピュータHW3(最新版はHW4)の性能は35TOPS(これについては参考文献[3]参照)。
・なおテスラのイーロン・マスクは、完全自動運転は電気自動車と組み合わせないと意味が無いと言っている。なぜなら、内燃機関エンジンを積んだ車でそれをやる価値は無いから。つまりトルクが即座に反応しないと、車の衝突や滑りやすい道路コンディションを考えた時に、自動運転はより非効率になり安全面でも劣ってしまう(参考文献[3])。
・肝心のFSDの性能だが、中島氏の体験によると、「早速近所のスーパーに行くときなどに使っているが、とても順調です。信号のない4叉路、赤信号での右折(ワシントン州では合法)、自転車の回避など、ベテランドライバーのようにこなしてくれる」そうだ。
・おそらくテスラは、このシステムを既存の自動車メーカーにサブスクライブ(OEM提供)するようになるだろう。これはまさにクアルコムがスマフォでやったことだ。日本の自動車メーカーも、いずれテスラ製の自動運転システムを積むことになるかもしれない。
・話は飛ぶが、近所でヒュンダイ製のEV(電気自動車)IONIQ 5を見かけるようになった。このクルマは、2022-2023年の日本インポート・カー・オブ・ザ・イヤーに選ばれただけあって、ともかくかっこいい。テスラのFSDといい、ヒュンダイのEVといい、すでにわれわれの身近な存在になっている。
・さて日本の自動車業界の将来はどうなるだろうか?かくいう筆者も、半導体不足で日本車が入手できなかったためにドイツ車に乗り換えた。いわば日本車離れの先棒を担いだような感じだ。
・次回は出張のためお休みします。
(参考)
[1[中島聡、「Life is beautiful」、2024.08.13
[2]Tesla、Autopilot and Full Self-Driving (Supervised) https://www.tesla.com ? support
[3]EevsmartBlog,「テスラの新しい自動運転コンピューター『HW3』は怪物だ」,2019.06.26