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テスラとxAIの動き

テスラとxAIの動き

  2024.09.14

・クルマの自動運転とEV化の動きは変化が速い。今回はこれに関するイーロン・マスクの新たな動きを紹介する。

 

・マスクのAI企業、xAIはこの5月にセコイヤ・キャピタルやサウジアラビアの王子などから60億ドルを調達した。この会社はマスクがオープンAIやグーグルと対抗するために設立したものだ。同社は対話型AIであるGrokをオープンソース化している。

 

・最近のウォールストリートジャーナル紙によると、テスラ社(マスクのEV企業)がxAIの人工知能モデルを同社の自動運転ソフト(Full Self-Driving)の開発に用い、その収益の一部をxAIに還元することを協議中だという(参考文献[1])。なおマスクはこの報道を否定している。

 

・もしこの報道が事実だとすると、EV業界にとっては大きな問題だ。それはEV化と自動運転化は技術的に同時発展的であるからだ。つまり従来の内燃機関車に比べ、EVの方がその動きをタイミングよくきめ細かく制御できるため自動運転に適するからだ。だとすれば自動運転ソフトの開発力がEVの競争力のきめ手になる可能性が高い。この点で自前のAIを持たない他社はEV開発で不利な立場に追い込まれることになる。

 

・おそらくケータイのクアルコム社のように、何年か経つとテスラが既存のクルマ屋に自動運転ソフトを供与し、それからサブスクリプション収入を得るというパターンが普及するだろう。

 

・この場合に日本のクルマメーカーはどうなるだろうか。かっての日本のケータイ・メーカー(ソニー、FCNTなど)のようになるのではないか。それが起こるのはそう遠い将来ではない。

 

・余談になるが、最近はAIの自動翻訳のおかげで英文資料の読み込みが楽になった。上の記事や関連資料も日本語訳して読んでいる。英文が表示されているところで、”translate into Japanese”をクリックすれば日本語にしてくれるのは便利だ(グーグル翻訳)。これでは、企業で”英語屋さん”はいらなくなるだろう。英語がとかく苦手な日本人にとっては、とてもありがたい。われわれが簡単に英語を読み書きできる時代になったからだ。こうしたソフトを活用すれば、日本初のオリジナルなアイデアを世界に英語で問うこともできる。良い時代になったものだ。

 

(参考)

[1]Berber Jin,Becky Peterson,"Musk's xAI has discussed deal for share of future Tesla revenue",WSJ,Sept.8,2024

  Gigazine,「『xAIがテスラへのAIモデルのライセンス供与について協議中』と報道されるもイーロン・マスクはこれを否定」、2024.09.09