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ディジタル化遅れる日本の自動車メーカー

 ディジタル化遅れる日本の自動車メーカー

  2024.10.26

・ルノーのEV企業アンペールのCEOルカ・メディオは、これからのクルマを「車輪のついたスマフォ」と表現している。つまり今後のクルマの性能は、エンジンではなくソフトウェア力によってきまってくるというのだ。

 

・最近コンサルティング・ファームのガートナーが、自動車メーカーのディジタル・インデックスを発表した。それを見ると、一位はテスラ、2位はニオ(Nio、上海蔚来汽車)、3位はXpeng(小鵬汽車)、4位はリビアン(アメリカのEVメーカー)、5位はルーシッド(アメリカ)、6位はGeely(吉利集団)、7位はBYD(中国)、8位はフォード、9位はGM、10位はBMWなどとなっている。

 

・これを見ると上位10位を占めるのは、アメリカ5社、中国4社、ドイツ1社である。ちなみに日本メーカーはホンダ(16位)、日産(19位)、トヨタ(20位)などで、これから外れている。つまり日本メーカーはディジタル化に完全に乗り遅れているといってよい。これは経営にとって何を意味するのか。アクセンチュアの調査によると、2040年には、自動車業界の収益の4割はソフトサービスによるものになる。この収益を日本メーカーは手に入れられない可能性が高いということだ。

 

・日本メーカの立ち遅れの理由は中島聡氏のブログ(Life is Beautiful)を読めば、理解できる。要するに社内でソフトがわかる人材が育成されなかったことによるもののようだ。クルマ屋にとって、ソフトは外から買ってくればよいと思われていた。これは日本車だけの現象ではない。ドイツのフォルクスワーゲンなどもソフト開発で苦労していることは、よく知られている。

 

・最近EVではなく、日本がお得意のPHVなどが売れて、日本メーカーも一息ついたようだが、これはどうも一過性の現象にすぎないようだ。自動車王国日本の将来は、あまり明るくない。そうえいば日本でもテスラを見かけるのが当たり前になってきた。

 

(参考)

・Gartner Digital Automaker Index,Oct.23,2024

・Kana Inagaki,David Keohane,”Toyota and Volkswagen fall further behind in th software race”,FT,Sept.23,2024

・Economist,”Why the hype for hybrid cars will not last”,Sept.17,2024