中国企業:底力の原因
2024.11.16
・このところ中国経済も曲がり角にあるようだが、それでも日本との差は開くばかりだ。野口悠紀雄氏は、「現在中国のGDPは日本の約4.5倍だが、2040年には10倍になるだろう」と指摘している。
・たしかに日本の場合、一国の成長源泉である企業力は頼りない。スイスのIMD(国際経営開発研究所)によると、日本の競争力ランキングは本年度38位に後退したようだ(ちなみに中国は14位、1位はシンガポール)。
・なぜこうなったかをぼんやりと考えていたら、面白い資料に行き当たった(参考資料[3])。それは日本人が中国最大手のECサイトであるアリババで働いた経験をまとめたものだ。以下その内容。
*(アリババでは)意思決定が早い(上司からの要望に対し、週末にプランを考えてくると言ったら、この場で考えてほしいと返された)。部下のアイデアの採否もその場で即決される。
*成長への意欲が強い(Think Big)。売り上げを前期の5倍などに設定する。そこから逆算して、何ができるかを考える。
・そう言っては失礼だが、日本企業なら、部下のアイデアなど、何回も会議にかけているうちに内容も陳腐になり、かつ決断のタイミングも失する。また売り上げ目標も安全を見込んで、前期の2割増しなどと、失敗しない範囲に収める。これでは外国企業に勝てないのも無理はない。
・かって日本企業にも、今の中国企業にみられるようなバイタリティ(アニマル・スピリット)があった。昭和20年代、当時の日銀総裁に、「(敷地に)ぺんぺん草をはやしてやる」などと言われながら、超強気の高炉建設を進めた鉄鋼企業(川崎製鉄:西山彌太郎社長)などが思い出される。またホンダは昔オートバイの専門メーカーだったが、製品精度を上げるため、資本金を超える金額を投じてスイスから精密機械を導入した。
・こうしてみると、日本経済の復活などと気楽にいうが、今の企業がよほどの構造改革をしない限り、実現は無理だろう。
(参考文献)
[1]IMD、”世界競争ランキング”、2024.06.26
[2]野口悠紀雄、”2040年、中国のGDPは「日本の10倍」に…!”、現代ビジネス、2024.9.10
[3]週刊現代、”中国最大手「アリババ」で5年働いた日本人の回想”、2024.9.14-21