ドラマ「日本統一」をみる
2025.03.08
・ネットフリックスで「日本統一」をみた(全61シリーズ)。これはやくざ映画だが、従来のものとはちょっと趣を異にする。これまでのやくざ映画、たとえば鶴田浩二や高倉健主演ものでは、やや陰惨さが目立った。これに対し「日本統一」は、むしろ新興スーパーチェーンが全国に販売網を広げていくとき、どのような手段を取ったかという、いわゆるビジネスものとみることができる。
・話は、横浜の半グレだった氷室蓮司と田村悠人が、神戸の侠和会に入り、そこで頂上に上っていく姿を描いている。侠和会は全国制覇を狙うが、その先頭に立つのがこの二人で、二人の掛け合いがこのシリーズの売りになっている。
・侠和会の全国制覇は、神戸を起点とするが、徐々に関東に攻め込み横浜や東京で既存のやくざ組織と激しい抗争を繰り返す。この関東版(50シリーズ以降)がなかなか興味深い。というのは関東のやくざ組織は政治と深くつながっており、それを攻撃することは既存の政治組織に立ち向かうということだからだ。内容は見てのお楽しみとするが、何年か前の新聞をにぎわしたトピックがいろいろ取り上げられており、結果的に今のご政道に対する批判となっている。
・ネットフリックスは、「新聞記者」(米倉涼子主演)や「震える牛」(相場英雄原作)など社会ドラマでしっかりしたものを放映しているが、「日本統一」もそのジャンルにいれてもよいだろう。
・話はすこし飛ぶが、日本の既成メディアはちょっとだらしない。この間亡くなった森永卓郎氏の「ザイム真理教」を読んでみたが、これで財務省が本気になって怒るとも思えない。にもかかわらず大手出版社からは軒並み出版を断られたそうだ。またこの本がでてから、テレビの情報番組への出演も減ったという(産経新聞に掲載された森永氏の叙述)。
・こうしてみると、「日本統一」などを放映するネットフリックスは、はさしずめ現代版黄表紙と言えるかもしれない。
(参考文献)
・森永卓郎、「ザイム真理教」、フォレスト出版、2023
・相澤冬樹、「メディアの闇」、文春文庫、2021